ブルーオーシャン戦略

ブルーオシャン戦略、というとまた新しい戦略コンセプトか、という気がするが、なーに読んでみると単なるポジショニング論のおさらいである。

通常、市場というのは開発者(例えばウォークマン)が市場を開き、その後で後発参入者が増えて競争が激化する。この状態を本書はレッドオーシャンと定義しており、要は差別化が難しくて価格競争が常態化した業界をそう定義しただけである。

で、この状況を抜け出るためにどこかのプレイヤーが新しい付加価値を引っさげてリ・ポジショニングを打ち出す。例えば紙おむつの業界で「もれない」という軸で価格競争になったときに「蒸れない」というポジショニングが出たし「蒸れない」というプレイヤーが多くなってきたときには「はかせやすさ」というプレイヤーが出てきた。

こういったユニークポジショニングで一定期間高収益を得ている状態を本書ではブルーオーシャンと定義しているだけで、つまり単なるポジショニング論に名前を付けたに過ぎない。

取り上げられている事例も普遍性に乏しく、日本のビジネスマンに参考になると思えない。

イエロウテイルをワイン業界におけるブルーオーシャンとしているが日本人の殆どにとってはなじみの無いブランドであるし、同様なポジショニングの商品がサンライズ(チリワイン)としてあるのでこれがブルーオーシャンといわれてもピンと来ない。同様に航空業界のサウスウェストも同じようハブ空港を結ぶエアラインと同じ土俵で比較していることにも違和感がある。

また後半における戦略の実現に向けた実行の解説部分ではトランスフォーメーションの方法論をかいつまんで説明しているだけで特に目新しい部分は無い。こういった箇所については三枝氏の「戦略プロフェッショナル」や船崎氏の「戦略ナビゲーション」の方がよほど学びがあるだろう。

総じて、新しいコンセプトを世に出して名を上げるためにいろいろと昔からある経営コンセプトに名前を変えて出した、という感がぬぐえないが、逆に様々な過去のコンセプトをコンサイスに学べる、という点では初学者には良いかも知れない。ただ、これを革新的コンセプトだと思って吹聴すると赤恥かきますぞ。

なるほど。勉強になる。
とはいえ、強者の土俵に上がってまともにやり合うよりも、違う価値を付加すると言う点に関して言えば優れている。
んで、その新しい付加価値をどうやって付けるのがよいのかというとまた違う分析が必要?

困ったモンだ。